建設業などに特化した会計ソフトである建設大臣NXを使っていて、決算や申告時などに1年分の取引の見直しをした際に
消費税の科目区分が間違っていて、訂正をすべきケースが発生することがあります。
一つや二つなどの消費税の科目の訂正であれば、該当する取引の伝票を展開して該当箇所を訂正すれば終わりますが、
売上や地代家賃など、特定の科目の1年分の取引に対して消費税の区分が間違っていた場合など、大量に消費税の訂正が必要となる場合も考えられます。
それを一つ、一つ手作業でやっていては大変な労力になってしまうので、今回は建設大臣NXで消費税の科目区分を一括で訂正する具体的な方法を説明します。
建設大臣NXに「一括訂正機能」は存在しない。
今回の作業をするにあたり、サポートセンターに問い合わせをして、消費税の科目区分に関して一括訂正が可能かどうか確認したところ
2025年11月現在において建設大臣NXに一括訂正という機能自体が備わっていない。という回答がありました。
令和の時代に有料かつ毎年5万以上の保守料が発生する会計ソフトの機能として、一括訂正をする機能がないというのはかなり衝撃的な回答ではありましたが、ないものはしかたがありません。
では具体的にどういった作業をすればいいのか、続けて問い合わせをしてみたところ、
「一つ一つの取引を開いた上で消費税の科目を訂正するしか方法がない。」
と。
いやいや、そんなはずはないだろうと、少し食い下がって聞いてみます。
建設大臣NXには、当ブログでも何回か触れている通り、CSVデータをインポートする機能が備わっていますなので、いったん1年分の仕訳データをCSVデータで吐き出し、Excel上で該当の仕訳の消費税区分を全て訂正し、
建設大臣上のデータは全て削除して空っぽの状態したうえで、
訂正したCSVデータを建設大臣NXに再度インポートする方法するアプローチでこちらのやりたいことは実現可能か確認したところ
「その方法であれば可能です。」
という回答がありました。
前置きが長くなりましたが、今回はその具体的な方法を記事に備忘記録として残しておこうと思います。
なお、消費税の計算だけきちんとできればいいという観点に立てば、年間の訂正すべき仕訳の合計金額を計算し、
決算仕訳などでその合計金額と同額の消費税の決算仕訳(訂正仕訳)を計上すれば消費税の計算としては問題なくできます。
- いやいや、それじゃ気持ち悪い。
- 取引ごとにきちんと消費税の科目区分を登録し直したい。
と言った場合にはこれから先の記事が参考になるかもしれません。
建設大臣NXで消費税科目を一括して訂正する全体の流れ
消費税科目を一括して訂正する全体の流れとしてはこういった感じです↓

- 建設大臣NXの仕訳帳業務から1年分の仕訳データをCSVで外部にエクスポート
- エクスポートしたCSVデータをExcelで開いて、訂正が必要なデータをフィルターなどで抽出し、消費税区分を一括で訂正
- 建設大臣NXをいったん終了し、バックアップファイルの作成(残高試算表のPDFデータの作成も)
- 作成したバックアップファイルをコピーしておき、万が一の時に備えてデスクトップやクラウド上などの別の場所に退避
- 建設大臣NXを再度起動して、1年分の仕訳データをすべて削除。
- 訂正した1年分のCSVデータを建設大臣にインポート。
以下、手順を具体的に説明していきます。
建設大臣NXから1年分の仕訳データを出力して、Excelで一括訂正して、再度インポートする具体的方法
建設大臣NXから1年分の仕訳データをエクスポートする方法
仕訳業務を開き、「期間」の欄で期首から期末を指定して、1年分のデータを表示させます↓

画面上に1年分の仕訳データが表示されたら、「出力」ボタンをクリックします↓

表示された画面の下の方に「ファイル出力」ボタンがありますのでこちらをクリック↓

続いて表示される画面の「Excel出力」にチェックを入れて、ファイルが出力される場所を適宜選択(デスクトップへやドキュメント、クラウド上など)してあげて、OKボタンをクリックします↓

これで指定した場所に1年分のExcelファイルが作成されます(バックアップ用としても使用可能)ので、このファイルを開いて消費税の科目の一括訂正を行っていきます。
出力したCSVデータをExcelで加工する
建設大臣NXから出力したCSVデータ(Excelデータ)をExcelで開くと下記のようなデータ形式になっているはずです↓

このうち、消費税の区分に該当するのがN列部分またはAA列部分なので、この部分を訂正することで消費税の一括訂正が可能です。
具体的な作業としては、
- K列の「借方科目名」でフィルターをかけて、訂正したい科目を絞り込む
- N列の消費税区分を修正する(0→715など)
- P列の「借方消費税フラグ」を0から2へ変更する(これをしないとインポートの時にエラーになる)
- 1~2の作業を訂正が必要なすべての科目に対して繰り返す
こんな感じになります。
ちなみに、売上などの科目に関する消費税の区分を訂正する場合には
- X列の「貸方科目名」でフィルターをかけて、訂正したい科目を絞り込む
- AA列の消費税区分を修正する
- AC列の「貸方消費税フラグ」を0から2へ変更する(これをしないとインポートの時にエラーになる)
- 1~2の作業を訂正が必要なすべての科目に対して繰り返す
となります。
今回は消費税の区分を一括訂正する形で説明していますが、同じ考え方で、勘定科目を一括で訂正したり、摘要を一括で訂正したりもできます。
なので自分がしたい作業に応じて対応してもらえばOKです。
すべての訂正作業が完了したら上書きせずに、名前を付けて保存しましょう。(もともとのCSVデータは変更や上書きをせずにそのまま残しておくほうが良いと思います)
「㈱■■_訂正後年間仕訳データ.csv」
みたいな感じで保存しておけばいいかと。
建設大臣NXのバックアップファイルをコピぺして退避(残高試算表のPDFデータも作成)
建設大臣NXの仕訳データを全部削除する前に、残高試算表のPDFデータの作成(または印刷)とバックアップファイルを作っておきます。
残高試算表のPDF(または印刷)は復元後のチェック時に役にたつのでやっておいたほうがいいと思います。
作業自体は、難しい作業ではないので説明は省略します。
バックアップファイルに関しても建設大臣NXを終了する際に毎回作成されるので、特に難しくはないですが、

このメッセージが表示されたら「はい」をクリックして

OKをクリックします。
この時、バックアップファイルは
Cドライブの中の、「program Files(x86)」の中の「OHKEN」フォルダ内の「KENXV3」フォルダ内に保存されます。
なので、ここのフォルダから今バックアップしたファイルをコピーしておき、別の場所(デスクトップなど)にペーストしておきましょう。
この時点で、バックアップファイルが2個存在することになりますが、「program Files(x86)」の中の「OHKEN」フォルダ内の「KENXV3」フォルダ内にあるバックアップファイルは
建設大臣NXを終了するたびに新たなバックアップファイルが作成され、順次上書きされてしまうリスクがあるので、
別の場所にバックアップファイルをコピペして退避することで、「KENXV3」フォルダ内のバックアップファイルが上書きされた事態に備えることができます。
こうしておくことで仕訳を訂正する前の状態に建設大臣を復元することもできますし、
仮に何かあったとしてもその時点から作業をやり直すことができます。
保険のためにバックアップファイルをいくつも持っておくイメージです。
建設大臣NXに入力した仕訳データを全部削除する方法
建設大臣の仕訳を全部削除するには「特殊処理」から行います↓

表示されるメニューの「伝票一括削除」で全部削除します。

削除する期間などに十分注意して削除するようにしましょう。
建設大臣NXにExcelで訂正した1年分のデータをインポートする方法
修正したデータのインポート方法は↓の過去記事で詳しく触れていますのでそちらを参考にしてください。

インポートが完了したら、事前に作成しておいた、残高試算表の数値と、インポート後の残高試算表の数値を比較してみて異常がないかどうか、
消費税の訂正がきちんとされているか等のチェック作業を念入りに行いましょう。
まとめ 今回の一連のやり取りで感じたこと
今回の一括訂正機能、クラウド会計のfreeeやマネーフォワードなどでは標準&当然に備わっている機能です。
弥生会計ですら(昔は一括修正の機能はなかったけど)今から7~8年前の「弥生会計18」あたりから一括修正(一括置換という名称だったと思います)の機能が搭載されています。
これ以外の会計ソフトについては確認していないので、こういった一括訂正機能があるのかどうかは分かりませんが、
少なくとも現代の会計ソフトにおいて一括修正の機能がないというのは致命的だと思います。
無料の会計ソフトならまだしも。
そもそも間違えずに日々の取引を完璧に登録することは現実的ではなく、人間誰しも間違うことがあります。
ひとつも間違えずに完璧に取引を登録することは無理があります。(当社調べ)
そして、その間違いに気づかないまま1年が経過し、決算の際に改めて見直したり、第三者からの指摘によって1年分の仕訳の訂正が必要になることも、税理士の現場の感覚としては
「よくある話」だと思います。
こういったケースは全国的にみてもちょくちょく発生していると想像しますので、会計ソフトメーカーには一括訂正の機能を搭載してほしいと感じます。
今回の建設大臣NXにおいては、CSVでデータを出力し、Excel上で修正を行ない、修正した取引を会計ソフトに再度取り込むという方法で手当することができましたが、
この作業自体、馴れない人からすると相当ハードルが高く感じたり、データをすべて消すことへの抵抗感・恐怖心を感じたりするところが実際問題あります。
(できれば自分もやりたくはない。)
なので、会計ソフトの標準機能として一括修正の機能が搭載されているとユーザーの満足度としては向上するのではないかと思っています。
【本日の近況報告】
自宅のwi-fi環境を見直すべく、朝からネットと生成AIで調べ物をしていました。
今使っているwi-fiルーター(wi-fi6)が購入してから4年半くらい経つので、そろそろ新しいwi-fi(wi-fi7)に変えてみたいというのと、それに併せて光回線のプラン変更などもすべきかどうか考えています。
【本日の1曲】
井上陽水/事件
前回の記事でも触れましたが和物レゲエが自分の中でブームになっています。
こちらの曲は割と明るい曲調になりますが、いい感じです。
知らないだけでいい曲がいっぱいありますね。
