建設業許可を持つ事業者が、毎事業年度終了後から4か月以内に必ずおこなう「決算変更届」に関して、
国土交通省のシステムであるJCIPを使って電子申請してみたので、システムの使用感などを記事にしておこうと思います。
JCIPで電子申請することで郵送不要・控えの保存も簡単になるため非常に便利です。
JCIP(国土交通省の建設業電子申請システム)を使って決算変更届を電子申請してみて感じた注意点やメリット・デメリット
GビズIDをもっていることがJCIPを利用するための前提になります。
GビズIDがない場合にはまずはGビズIDの準備をしておくことが必要です。
JCIPで決算変更届のデータを作成する際の注意点
作業して感じた注意点としては、いきなり変更届出書(の表紙データ)を作成しないほうがいいということです。
該当のデータが作成されていない状態で「変更届出書」を作成してしまうと保存時にエラーが発生してしまいます。
なので、変更届出書は最後に作成するイメージで、
- 貸借対照表や損益計算書などの決算書の部分
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
などを先に作成しておくことをお勧めします。

工事経歴書の作成時に気を付けたい点としては、複数業種の工事経歴書を作成する場合にはデータの切り替えをきちんと行うということ。
「大工工事に関する工事経歴書」と「建築工事の工事経歴書」の2つを作成する場合には画面上で業種を切り替えてから作成するのを忘れないようにしましょう。
↓の画像の赤枠部分で工事の種類を変更したうえで工事経歴書を作成するようにしましょう。

JCIPで決算変更届を電子申請してみて良かった点(メリット)
専用ソフトをインストールする必要がない
ネット上からログインして作業するタイプなので、パソコンにソフトをインストールする必要がない点はいいなと感じます。
年金事務所の「届出書作成プログラム」と比べるとこちらのほうがかなりいいですね。
また、令和5年からスタートしたシステムということもあってか、見た目も古臭くなく、わりとわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)だと感じました。
こちらも年金事務所の「届出書作成プログラム」と比べると月とすっぽんくらいの違いがあると感じます。
作業をしていくと、かなりこまめに保存を求められるので安心感があり、途中まで作業を進めておき、その後引き続き作業をすすめる。といったことができるのも〇です。
ちなみに保存したデータはJCIPにログイン後に表示される業務メニューの「申請・届出一覧」に保存されるので、
この部分から保存したデータを選択することで、引き続き書類の作成作業を行うことができます↓

申請データの進捗状況がその都度メールで通知がくる
申請したデータが現在どのような状態にあるのかに関して、メールで通知が送られてきますので、進捗状況を把握することが簡単です↓

年金事務所に提出する申請データに関しては自分から進捗状況を確認する必要があり、確認するのを失念すると、
申請データに不備があると、いつまでたっても手続きが完了しないという問題点があります。
この点、JCIPは登録しているメールアドレス宛に進捗状況のアナウンスが来るので、データの再提出の必要がある場合に見逃すといった心配がありません。
控えデータはPDFでダウンロード可能
作成したデータは下記の画像の赤枠部分のダウンロードボタンをクリックすることで、PDF形式でダウンロードすることが可能です↓

なので作成したデータの控えも簡単に手に入れることができます。
入力内容に関するチェック機能・サポートが充実している
エラーのチェック機能も充実しており、作成したデータを保存する際にエラーが発生した場合にNGと表示される(問題ない場合にはOKと表示される)ので
間違ったまま申請を進めるリスクがかなり低くなるように設計されていると感じます(逆にエラーの解消方法がわからずに足止めをくらう可能性もなくはないですが。)
操作方法に関するサポートも充実しており、電話でのサポートも可能となっているので操作に関して詳細なサポートを受けることができる点も不慣れな人にはありがたいですね。
JCIPで決算変更届を電子申請してみて感じたいまいちな点(デメリット)
決算報告書の数値を入力する作業の時に「合計金額」が自動計算・自動転記されない点がいまいちです。
JCIPで電子申請する以前の、Excelで作成して紙媒体で提出していた時にはExcel上で関数を入力しておくことで、合計金額などは自動計算させることができましたが、
JCIPのシステムでは2025年12月時点では自動計算の機能はついていませんので、
ひとつひとつ項目に手入力で数値を埋めていき、かつ合計金額も手入力する必要があります。これはかなり手間です。
RPAなどを使うと自動化できそうな気配もありますが、現状自分にはそのスキルがありませんし、RPAで解決するかどうかも含めて慎重な判断が必要です。
年に1度ならそのまま手入力で処理してしまいたい気持ちになるのが正直なところです。
自動計算や自動転記の機能が搭載されることを期待します。
決算変更届を電子申請する場合でも法人事業税の納税証明書は従来通り取得しないといけない
法人で建設業の許可を持っている場合の決算変更届には法人事業税の納税証明書を添付する必要がありますが、この納税証明書については
従来通り、府税事務所や県税事務所にて原本を取得して、スキャンなどでデータ化を行い申請時に添付する必要があります。
この点に関しては紙媒体での申請だろうが、電子申請であろうが取得の手間はかわりません。
まとめ
国土交通省の電子申請システムであるJCIPを使用して建設業の許可を持っている法人が毎年行う、決算変更届を電子申請してみて感じたことを記事にしました。
電子申請するまでは心理的なハードルが高かったのですが、実際にやってみた感想としては「そこまで難しくない」という印象です。
郵便代や郵送の手間を省くことができるのでチャレンジしてみる価値は十分にあると感じました。
この記事が建設業の決算変更届を電子申請しようと思っている人の参考になれば幸いです。
【本日の近況報告】
忘年会のお店の手配を実施。参加者はバスケット仲間だけなので気を使わないでいいで楽しみです。
飲みすぎに注意して、よい時間を過ごせればと思います。
【本日の1曲】
Paul Anka/Wonderwall
オアシスの名曲「wonderwall」をポールアンカがスウィンギンにカバーした1曲。
20年前くらいに広島のクラブイベント聴いた際にフロアがざわついたのを覚えています。
当時は変化球くらいにしか思いませんでしたが、久しぶりに聴いてみるとありだなと。
